基本的な原理は、20世紀初頭に発見されていましたが、現在に至る技術が確立されたのは1960年代です。
光の三原色(RGB=赤・緑・青)のうち、青だけ開発が遅れていたものの、1990年代に日本の技術者によってついに実用化。三原色がそろったことで、1996年には白色LEDが登場しました。
これにより、用途が表示用に限られていたLEDは、一般照明用としても開発が進むことになったのです。特に近年、低価格化・商品化が進み、以下のような数々の優れた特性から、LEDは次世代照明の主役となりつつあります。
交通信号を例にすると、従来電球式の消費電力量は70Wだったのに対し、LEDでは12Wで済むようになりました。一般的にはLEDの消費電力量は、白熱電球の1/4~1/5といわれており、グロースターター式やラピッドスタート式の蛍光灯と比較しても40~50%削減されています。また、このことからCO2の削減にも大きく貢献し、地球温暖化防止にも大きな役割を果たしつつあります。
なお、LED照明が省エネなのは、他の照明とは異なり発光成分のほぼ全てが可視光線(目に見える光)で、照明としての無駄が少ないことが大きく影響しています。電力の変換効率を見ても発熱してロスすることも少なく、最大で34%と、蛍光灯の25%や白熱電球の10%と比べ効率がよいことがわかります。
通常、白熱電球の寿命は1,000~2,000時間、蛍光灯の寿命は6,000~12,000時間程度といわれています。これに対してLEDの寿命は4~6万時間と、はるかに長いのが特徴です。4万時間としても、1日10時間の使用で10年以上もつ計算となります。このため、交換する頻度が少なくて済み、交換に手間がかかる高所の照明には最適です。
なお、白熱電球は寿命になると突然切れますが、LEDは、寿命になると照度が落ちてくるだけで、断線など故障のとき以外は、突然切れることはありません。(社)日本照明器具工業会では、照明用白色LEDの寿命は「初期全光束の70%になるまでの総点灯時間」と規定され、通常カタログ記載の寿命はこれに基づいた推計値です。
LEDには、発光しても発熱しないという特性があります。照射面に触れても熱くないので、熱の問題で設置できなかった場所にも設置可能となりました。また、光には赤外線がほとんど含まれていないため、照射部分が熱くなることもありません。一方、LEDを埋め込んでいる基盤部分は多少発熱しますので、基盤や器具には放熱対策が必要です。
LED照明の光には、日焼けなどの原因となる紫外線がほとんど含まれていません。そのため、美術品・工芸品などに照射しても褪色・劣化しにくいので、長期保存しながら展示する場所などに最適です。
昆虫が光に引き寄せられるのは、光に紫外線が含まれているためです。そのため、紫外線をほとんど含まないLEDの照明を使用すれば、虫が集まることはなく虫の死骸で器具などが汚れることも防げます。この情報は意外に浸透しておらず、屋外で照明を使用される方には吉報といえます。
LEDは応対速度が速いため、蛍光灯のようにインバータなど周辺機器の力を借りなくても、通電することで瞬時に点灯します。例えば、工場や倉庫、体育館などで多く使われている水銀灯をLEDに交換することで、それまでよりも快適にお使いいただけるでしょう。また、休憩時間などの小まめな消灯を心掛ければ、省エネにもつながります。
LEDの応対速度の速さは点灯・点滅に強いだけではありません。すでに調光・発色(昼白色~電球色)も変えられる照明も商品化されています。さらに、発色についてはフルカラー調光も可能で、今後そうした商品も登場すると思われます。
LEDの製造技術の進展で、これまでの表示用から照明用として高輝度化が進み、視認性も高い優れた光源となりました。特にその指向性の高さから、外灯や施設など高所からの照明に向いています。このほかにも現在では、光を拡散するつくりのLEDが商品化されています。
白熱電球・蛍光灯とも外部はガラスのため割れやすく、内部構造も衝撃には強くありません。これに比べLED素子は衝撃に強く、外周部はシリコン樹脂などでコーティングされているため、地震などで落下しても割れにくいというメリットがあります。
LEDは熱には決して強くありませんが、寒さには滅法強いという特性があります。蛍光灯の場合氷点下で点灯しなくなることがありますが、LED照明は氷点下20度でも発光効率が低下せず、寒冷地の外灯としても安心して設置できます。
LED照明は、現状では往々にして白熱電球や蛍光灯より重くなりがちです。これは基盤や器具の重さによるもので、LED自体は点光源で発光部は小さくつくることができます。そのため、デザイン上の自由度が高く、工夫次第では、白熱電球や蛍光灯以上に小型化・軽量化されることが期待されています。すでに既存の照明と同等の重さのLED照明が登場しています。
ビル・建物などのベース照明は、規模が大きくなるに従い電気代の負担や交換の手間が増大します。新設時はもちろん、現場の状況によっては既存の照明もLEDに換えることをお奨めします。対応が早ければ早いほど、お得になるでしょう。LED照明への切り替えをご検討の際は、お気軽にご連絡ください。無料でコスト試算いたします。
高所に設置された照明が多い工場や倉庫では、照明を交換する際のコストは大きな負担です。しかし、長寿命のLEDにすれば、次回の交換はおよそ10年後。コストを考慮すると、このメリットは計り知れません。また、指向性の高いLED照明なら、作業場所を無駄なく明るく照らすことができます。
コンビニエンスストアでは、営業時間の長さや法的要請(エネルギーの使用の合理化に関する法律)もあり、イメージアップも兼ねて導入例が増えつつあります。一般商店への導入はまだまだこれからですが、店舗やショーウィンドーの装飾用イルミネーションのほかLED看板などは、よく見られるようになってきました。
ショッピング街のモールライト、住宅街の防犯灯、高速道路の照明など。その省エネ性能・長寿命といった特性から、すでにLED外灯は全国各地で導入されています。また、虫を引き寄せにくいことから、虫の死骸による器具や周辺の汚れがなく、特にショッピング街ではお客様にも好評です。
非常時の誘導灯は24時間点灯しているため、電気代の負担は意外に大きいもの。また、灯りが消えてはその意味がなくなるため、球切れのないLEDは最適といえます。すでにパナソニック電工などは、誘導灯をLEDに一本化しており、白熱電球や蛍光灯の製品の生産は中止しています。
施設の館内照明用としてはもちろんですが、注目すべきは展示物の照明です。白熱電球、蛍光灯とも紫外線が含まれているため、展示物の褪色・劣化などの原因となりがちです。しかしLED照明なら、紫外線がほとんど含まれていないため、大切な展示物をより安全に長期間展示・保存することができます。
白熱電球と交換するだけで使える家庭用の電球形LEDは、低価格化が進み急速に普及しているのはご存知の通りです。その他、自動車のあらゆる照明や漁船の漁火、植物工場の植物育成用照明など、その特性を活かしたユニークな使い方も広がっています。